シナリオ作成入門では、EC-CUBE4を対象にシナリオの作成を行っていきました。
「EC-CUBEの環境構築に手間がかかる。」というご意見をいただいたので、環境構築方法についてまとめてみます。
極力簡易にセットアップを行いたいので、環境はDockerを利用して構築します。JMeterと同じPC上である、「Windows10 Pro」の環境にインストールを行います。
[Windows10 Pro] Dockerのインストール
Dockerのダウンロード
公式サイトから「Docker Desktop」のダウンロードを行います。
公式サイト->https://www.docker.com/get-started
Dockerのインストール
ダウンロードした「Docker Desktop Installer.exe」を実行します。
特別な選択肢はないのでインストーラーに従っていきましょう。ただし、PCの再起動が必要になるので、未保存のファイルなどがある場合は、注意してください。
Dockerの動作確認
インストールが完了したら、「Docker Desktop」を実行します。実行が完了すると、右下にクジラのアイコンがでてきます。チュートリアルを促されますが、スキップで問題ありません。
起動が確認できたら、PowerShell(またはコマンドプロンプト)から、動作確認をしてみましょう。
> docker version
Client: Docker Engine - Community
Version: 19.03.8
API version: 1.40
Go version: go1.12.17
・・・・
バージョンが表示されれば成功です。
EC-CUBE4のインストール
EC-CUBE4のダウンロード
公式サイトから4系のEC-CUBEをダウンロードします。ダウンロードには会員登録が必要なので、適宜会員登録してください。
公式サイト->https://www.ec-cube.net/download/
ダウンロードが完了したら、zipファイルを解凍し適当なフォルダへ移動させます。今回は、「C:\jmeter\eccube-4.0.4」へ移動させました。
EC-CUBEのDockerイメージ作成
PowerShellで、解凍先フォルダへ移動します。
>cd C:\jmeter\eccube-4.0.4
Dockerfileが用意されているので、イメージを作成します。
>docker build -t ec-cube4 .
EC-CUBEのバージョンによってはビルドエラーが出るようです。もしビルドに失敗した場合は、githubから最新版を取得して再実行してみましょう。
参考->github EC-CUBE公式
イメージが作成できたら、確認します。無事にイメージが作成できているようです。
> docker images
REPOSITORY TAG IMAGE ID CREATED SIZE
ec-cube4 latest 3e994590a438 7 seconds ago 749MB
php 7.3-apache-stretch 603de146a1b0 2 weeks ago 375MB
EC-CUBEのコンテナ起動
イメージからコンテナを起動してみます。コンソールにログ出力されるようになります。
> docker run -d --name ec-cube -p "80:80" -p "443:443" ec-cube4
> docker run -d -p 1080:1080 -p 1025:1025 --name mailcatcher schickling/mailcatcher
> docker run --name ec-cube -p "8080:80" -p "4430:443" --link mailcatcher:mailcatcher eccube4-php-apache
ローカルの80番ポートおよび443番ポートをコンテナにプロキシしています。既にローカルのポートを利用しているなど、都合が悪い場合は適宜「-p "8080:80"」のように変更してください。
起動の確認をしてみます。
> docker ps
CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
e49b923b67a2 ec-cube4 "docker-php-entrypoi…" 45 seconds ago Up 44 seconds 0.0.0.0:80->80/tcp, 0.0.0.0:443->443/tcp ec-cube
コンテナを停止したい場合はstop、起動したい場合はstartコマンドを使います。
> docker stop ec-cube
ec-cube
> docker start ec-cube
ec-cube
管理画面へのログイン確認
管理者画面(http://localhost/admin) へアクセスしてみて、ログイン画面がでればインストールは完了です。
下記ログイン情報でログインが可能です。
key | value |
---|---|
ユーザーID | admin |
パスワード | password |
※各種ログイン情報は、Dockerfileと同階層にある「.env」ファイルへ記載されています。
管理画面からユーザー作成
次にユーザー作成を行います。デフォルトの状態ではメール送信ができません。そのため、メール送信が必要な通常の会員登録ではなく、管理者画面から登録を行います。
管理者画面へログインし、左メニューの会員管理からユーザー登録を行います。登録の時に「仮登録」を「本登録」へ変更しておきましょう。「仮登録」状態では、作成したユーザーでログインできないので、忘れずに行ってください。
トップ画面(http://localhost/ )からログイン確認を行い、ログインできれば準備は完了です。
ハマったときの見直しポイント
トップ画面の「新規会員登録」か登録した会員情報でログインできない
メールサーバが有効になっていため、通常のトップ画面から行う「新規会員登録」では会員登録できません。管理者画面から会員登録を行いましょう。
管理者画面から登録した会員情報でログインできない
登録した会員のステータスは「本登録」になっていますか?「仮登録」状態では、ログインできません。
まとめ
この記事では、シナリオ作成練習をするために、EC-CUBE4を「Windows10 Pro」へインストールする方法をまとめました。
Dockerを使うことで、比較的簡単に環境構築ができたと思います。
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~ JMeterの負荷テストシナリオ作成入門 ~
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第1回:【負荷テスト】JMeterのシナリオ作成入門
第2回:JMeterのインストールと初期設定
第3回:HTTPプロキシサーバーを利用したベースシナリオの作成
第4回:動的パラメータを取り込み、エラーを解消させる
第5回:リファクタリング実施
第6回:入力パラメータを外部ファイルから読み込む
第7回:負荷テスト用の修正を実施
番外編:EC-CUBE4の環境構築方法
番外編:シナリオが正しく動作しないときの調査方法