シナリオや環境のセットアップができたら負荷テストを実施します。
そのシステムではじめて負荷テストをする場合、いきなり大きな負荷をかけてしまうと、想定外の動作をする可能性があります。まずは、セットアップが正常に完了していることを確認するために「基礎データの取得」を行います。
この記事では、「基礎データの取得」について説明していきます。
基礎データとは
基礎データとは、負荷テストシナリオに組み込まれているアクセスの、最短平均応答時間のことです。基礎データを取得しておくことで、
- 正常に負荷がかかっているか
- キャパシティの限界近い負荷をかけているのか
- チューニングの効果測定
の判断ができるようになります。
正常に負荷がかかっているのか
負荷テストでは、複数のアクセスがシナリオに組み込まれており、そのシナリオを同時並行的に実行することで、負荷をかけていきます。システムのキャパシティに余裕があるときは平均応答速度は変化しませんが、限界に値数いてくると平均応答時間が増加していきます。基礎データは平均応答時間が増加する前のデータとなるため、基礎データよりも早いデータが取得された場合は、エラーなどの異常が発生していると推測することが可能です。
キャパシティの限界近い負荷がかかっているのか
同じ3秒かかっているアクセスでも、基礎データが1秒のものと3秒のものでは見方が大きく変わってきます。3秒から3秒のものはキャパシティ的に余裕がある状態ですが、1秒から3秒に増加している場合はキャパシティの限界に近づいていると判断可能です。
チューニングの効果測定
基礎データを取得しておくことで、チューニング実施後にどの範囲にどの程度の効果があったかを確認することもできます。チューニングが狙ったアクセスに対して効果が出ているか、どの程度の時間短縮になっているかを確認するために利用しましょう。
基礎データの取得方法
基礎データは、最短の平均応答速度のことと説明しました。実際にデータ取得を行う場合はどのように行うのでしょう。キャパシティに余裕がある状態のデータを取得する必要があるので、次の条件で取得を行います。
- スレッド数を1
- ループ回数を10回以上
スレッド数は同時接続数です。この設定を「1」とすることで、システムに負荷がかかっていない状態から、該当のアクセスだけを実行することができます。キャパシティの阻害要因がないために、最短の応答速度の取得が可能です。
とはいえ、回線状況など外部要因が影響する可能性もあるため、ループ回数を増やすことで、取得データの信頼性をあげていきます。
基礎データのまとめかた
基礎データは下記のような形で表形式でまとめておきましょう。
アクセス | 平均応答速度 |
---|---|
トップ | 0.3秒 |
商品詳細 | 0.5秒 |
カートに入れる | 0.4秒 |
まとめ
基礎データは、最短の平均応答速度のことです。これを最初に取得しておくことで、
- 正常に負荷がかかっているか
- キャパシティの限界近い負荷をかけているのか
- チューニングの効果測定
の判断を行うことが可能になります。
手戻りを少なくするためにも必要な作業となりますので、必ず行っておきましょう。
参考.
全体的な負荷テストの進め方が気になる方は、「負荷テストの進め方」をご覧ください。